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赤伝処理とは?建設業法違反に気を付けたいポイント

2024.12.13
基礎知識

建設業界で頻繁に行われる赤伝処理。俗に行われる返品処理や伝票計上後の修正処理などの際の商取引として使われるワードですが、建設業の場合は、業者への支払予定金額から諸経費などを差し引く場合にも使われるワードです。ただし、契約金額からの費用の差し引きは、適切に行わないと建設業法違反となるリスクがあります。この記事では、赤伝処理の基本的な仕組みから、建設業法違反を防ぐための具体的な注意点、適切な処理方法まで、実務に即して詳しく解説します。

赤伝処理の基本的な仕組みと注意点

建設業界で頻繁に行われる赤伝処理について、その定義から実務上の留意点まで、順を追って解説していきます。元請負人と下請負人の関係において重要となる、費用の差し引きに関する基本的な考え方や法令上の位置づけを確認しましょう。

赤伝処理とは何か

赤伝処理は、元請負人が下請負人への支払代金から、特定の費用を差し引いて精算する方法です。この処理方法は、建設現場における様々な経費の精算方法として広く用いられています。

具体的には、元請負人が立て替えた費用や、下請負人が負担すべき諸経費を、支払時に請負代金から差し引く仕組みとなっています。この処理には必ず事前の合意が必要です。

差し引き対象となる費用の種類

赤伝処理の対象となる主な費用には、以下のようなものがあります。

  • 作業員の安全保護具購入費用
  • 現場での廃棄物処理費用
  • 振込手数料などの支払関連費用
  • 駐車場使用料や協力費

建設業法における赤伝処理の位置づけ

建設業法では、赤伝処理に関して厳格な規制が設けられています。特に、法第18条の請負契約の原則や、第19条の不当に低い請負代金の禁止に関連する重要な規定があります。

見積条件の明示義務も法第20条第4項で定められており、赤伝処理を行う場合は必ず見積段階で明確にする必要があります

建設業法違反となる赤伝処理の具体例

建設業法における赤伝処理の違反事例は、大きく分けて3つの類型があります。差し引き方法の問題、費用計算の不適切さ、そして書面に関する違反です。それぞれの違反事例について、実際の処分事例を交えながら詳しく見ていきましょう。

一方的な費用差し引きによる違反

元請負人が下請負人との事前の合意なく、一方的に費用を差し引くことは重大な法令違反となります。建設業法第18条に定められた請負契約の原則に反する行為だからです。

具体的な違反の例として、以下のような行為が挙げられます。

  • 安全用具の費用を突然差し引く
  • 事前説明のない廃棄物処理費用の徴収
  • 合意のない協力費の控除

不適切な費用算定による違反

費用の計算方法が不適切な場合も、建設業法違反となることがあります。特に、実際の費用を超える金額を請求することは、下請負人に不当な負担を強いることになります。

主な違反例には次のようなものがあります。

  • 実際の処理費用を上回る廃棄物処理費用の請求
  • 市場価格より著しく高額な安全用具費用の徴収
  • 根拠が不明確な協力費の算定

書面作成義務違反

赤伝処理を行う際は、適切な書面作成と保管が求められます。建設業法第19条に基づき、取引の透明性を確保するための記録が必要となります。

書面作成に関する違反には、以下のようなものがあります。

  • 差し引き内容を記載した書面の不作成
  • 費用の算定根拠を示す資料の未整備
  • 合意内容を証明する文書の紛失

適切な赤伝処理の進め方

建設工事における赤伝処理を適切に行うためには、元請負人と下請負人の事前協議から、書類の作成・保管まで、いくつかの重要な段階があります。以下では、各段階における具体的な手順と注意点について詳しく説明していきます。

元請負人と下請負人の事前協議のポイント

工事開始前の事前協議は、赤伝処理を円滑に進めるための重要な第一歩です。差し引く費用の内容や金額について、双方が納得できる形で合意を形成することが不可欠です。

事前協議では、以下の項目を必ず確認する必要があります。

  • 差し引き対象となる費用の種類と内容
  • 金額の算定方法と根拠
  • 支払時期と清算方法
  • 関連する書類の取り扱い

見積書・契約書への明示方法

協議で合意した内容は、必ず見積書と契約書に明記する必要があります。特に、費用の内訳や算定方法については、後々のトラブルを防ぐため、できるだけ詳しく記載することが望ましいです。

明示すべき主な項目は次の通りです。

  1. 差し引き対象となる費用の具体的な内容
  2. 算定方法と単価
  3. 支払時期と方法
  4. その他の特記事項

費用の適正な算定方法

費用の算定には、明確な根拠と合理的な計算方法が求められます。実際の費用を超える金額を請求することは、建設業法違反となる可能性があります。

適正な費用算定のためのポイントは以下の通りです。

  • 市場価格に基づく適正な単価設定
  • 実費に基づく清算金額の算出
  • 計算過程の明確な記録

書類の作成と保管の重要性

赤伝処理に関する一連の書類は、適切に作成し、保管する必要があります。<特に、差し引きの根拠となる資料は、後日の確認や監査に備えて、分かりやすく整理しておくことが大切です。

保管が必要な主な書類には以下のものがあります。

  • 事前協議の議事録
  • 見積書と契約書の写し
  • 費用の算定根拠資料
  • 支払いに関する証憑類

「どっと原価シリーズ」では、支払予定代金からあらかじめ決定した協力費の自動計算機能や、差し引く(控除する)内訳明細などを下請負人に通知する帳票を出力する機能があります。また、下請負人への振込の際に、インターネットバンキングのデータ出力も可能なので、口座振込作業の業務効率が向上します。下請負人との業務契約が多い元請会社などに多く利用されています。

まとめ

赤伝処理は、元請負人が下請負人への支払代金から諸費用を差し引く仕組みですが、適切な運用が求められます。最も重要なのは、事前の合意形成と書面による記録です。費用の差し引きには必ず明確な根拠が必要で、一方的な控除は建設業法違反となります。元請負人と下請負人の双方が納得できる金額設定を行い、見積書や契約書に明示することが不可欠です。また、社内での確認体制を整え、定期的な見直しを行うことで、法令遵守と円滑な取引の実現が可能となります。

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