MENUCLOSE
無料まずは資料請求 無料無料相談
お役立ち情報
ホーム > お役立ち情報 > 建設業における工事原価管理の難しさと対策

建設業における工事原価管理の難しさと対策

2024.10.16
建設業DX

建設業の工事管理において、正確な工事原価の把握は非常に重要ですが、建設業特有の複雑な会計処理により、実際に行うには多くの困難が伴います。この記事では、建設業会計が特殊であるがゆえに工事管理に与える影響と、工事原価管理の限界について詳しく解説します。

建設業における工事原価管理の重要性

まず、工事原価管理とは一体どのようなものなのでしょうか。簡単に言えば、建設工事を行う上で発生する様々な原価、例えば外注費や材料費などを適切に計算し、管理していくことを指します。この管理を適切に行うことで、利益の減少を防ぎ、コストの軽減を実現することができるのです。

つまり、工事原価管理は建設業において健全な企業運営を行うために必要不可欠な要素だと言えるでしょう。特に昨今の建設業界を取り巻く環境の変化を考えると、その重要性はますます高まっていると言えます。

建設業法における工事原価管理の位置づけ

それでは、法律の面から見た工事原価管理の位置づけについて確認していきましょう。建設業法において、建設業者は損益計算書に完成工事高と完成工事原価を記載することが義務付けられているのです。つまり、工事原価管理は法律によって求められている重要な業務の一つだと言えます。

さらに、この財務諸表は建設業許可の取得や更新の際に必要となる書類の一つでもあります。したがって、建設業を営む上で、工事原価管理を適切に行うことは避けて通れない課題だと言えるでしょう。

工事原価管理が重要視される背景

なぜ工事原価管理がこれほどまでに重要視されているのでしょうか。背景には、建設業界を取り巻く環境の変化があります。例えば、最近では材料費の高騰が大きな問題となっています。木材価格の上昇は、建設業者の利益を圧迫する要因の一つとなっているのです。

また、少子高齢化による人手不足も深刻な問題です。人件費の高騰は建設業者の経営を圧迫する大きな要因の一つとなっています。加えて、事務作業の効率化も急務となっています。このような状況下で、適切な工事原価管理を行うことは、建設業者の生き残りをかけた重要な取り組みだと言えるでしょう。

適切な工事原価管理による恩恵

最後に、適切な工事原価管理を行うことで得られる恩恵について見ていきましょう。まず一つ目は、即時のコスト把握が可能になることです。工事原価管理を適切に行うことで、その時点での原価の状況を正確に把握することができます。これにより、問題があれば早期に対処することが可能となります。

二つ目は、損益分岐点の把握です。適切な工事原価管理を行うことで、どの程度の売上があれば利益が出るのかを正確に把握できます。これは、建設業者が適切な価格設定を行う上で非常に重要な指標となります。

そして三つ目は、収益の確保と赤字の回避です。工事原価管理を適切に行うことで、無駄なコストを削減し、収益を確保することができます。また、赤字事業を早期に発見し、対策を講じることで、大きな損失を回避することも可能となります。

以上のように、適切な工事原価管理を行うことは、建設業者にとって非常に大きな利点があると言えます。建設業者は、この点を十分に認識し、適切な工事原価管理を行っていくことが求められています。

建設業特有の会計処理と工事原価管理の難しさ

建設業の会計処理では、一般的な企業会計とは異なる特殊な勘定科目が用いられます。また、工事進行基準による売上・原価の分割計上や、外注費の存在、共通費の複雑さなど、建設業特有の会計処理が存在します。これらの要因が、経理業務の負担を増大させているのです。

建設業会計で用いられる特殊な勘定科目

建設業会計では、一般的な企業会計とは異なる特殊な勘定科目が用いられます。例えば、完成工事高、完成工事原価、完成工事総利益、未成工事支出金などがその代表例です。これらの勘定科目は、建設業の業務内容を反映したものであり、工事の進捗状況や収益性を適切に管理するために必要不可欠です。

しかし、これらの特殊な勘定科目を適切に使いこなすためには、建設業会計に関する専門的な知識が求められます。経理担当者は、これらの勘定科目の意味を正しく理解し、適切に仕訳を行う必要があります。

工事進行基準による売上・原価の分割計上

建設業会計における特徴の一つに、工事進行基準による売上・原価の分割計上があります。この基準では、工事の進行度合いに応じて、売上と原価を分割して計上することが認められています。つまり、工事が完了する前であっても、一定の条件を満たせば、売上と原価を計上できるのです。

この工事進行基準は、2021年4月以降、新収益認識基準として適用されました。この基準の適用により、より適正な期間損益の把握が可能になりました。しかし、その一方で、工事の進捗度合いの測定方法など、実務上の課題も指摘されています。

外注費の存在と共通費の複雑さ

建設業では、工事の多くの部分を外注工事に依存しています。この外注費は、建設業特有の原価項目の一つです。外注費は、工事原価の中で大きな割合を占めることが多く、その管理は工事原価管理上の重要な課題の一つとなっています。

また、建設業では複数の工事が同時に進行することが一般的です。その際、複数の工事に共通して発生する費用、いわゆる共通費の存在が原価管理を複雑にしています。共通費は、一般管理費等、現場管理費、共通仮設費の3つに区分されますが、その中には原価に含めるものと含めないものが混在しています。これらをどのように工事原価に配分するかということが、大きな課題となっているのです。

経理業務の負担増大

以上のような建設業特有の会計処理は、経理業務の負担を大きく増大させる要因となっています。特殊な勘定科目の使用や、外注費の管理、複雑な共通費の処理など、建設業の経理担当者は非常に高度な専門知識と経験を必要とするのです。

加えて、建設業では取り扱うデータ量も膨大です。これらのデータを正確に処理し、適切に仕分けを行うことは容易ではありません。ミスを防ぎつつ、効率的に経理業務を行うためには、工事原価管理システムの導入が不可欠だといえるでしょう。

工事原価管理システム導入の必要性

ここでは、工事原価管理におけるシステム化の重要性と、それによってもたらされる効果について詳しく見ていきましょう。

システム導入によるデータ処理の効率化

工事原価管理システムを導入することで、データ処理の効率化を図ることができます。大量の取引データを手作業で処理すると、非常に多くの時間と労力がかかります。しかし、システムを導入することで、これらのデータを自動的に集計処理し、必要な情報を瞬時に抽出することが可能となります。

例えば、ある資材の購入データを入力すれば、システムが自動的にそれを適切な勘定科目に仕訳し、工事ごとの原価に反映させることができます。また、各工事の進捗状況や原価の発生状況を、即時に把握することも可能となります。

システム導入によるミス軽減

工事原価管理システムのもう一つの大きな利点が、ミスの防止です。手作業での仕訳作業は、ミスが発生しやすいだけでなく、誤った仕訳がそのまま残ってしまうリスクがあります。しかし、システムを導入することで、入力データの確認機能が働き、ミスを未然に防ぐことができます。

また、システムには複雑な計算や配賦を自動的に行う機能も備わっています。これにより、計算ミスなどの単純な誤りを大幅に減らすことが可能となります。ミスのない正確な原価データは、経営判断の質を高めることにもつながるでしょう。

工事原価管理システム選定時の留意点

工事原価管理システムを導入する際には、いくつかの点に留意が必要です。まず、自社の業務内容や規模に合ったシステムを選ぶことが重要です。必要な機能は何かを明確にし、それを実現できるシステムを吟味しましょう。

また、クラウド型のシステムを選ぶのか、自社サーバー型(オンプレミス型)を選ぶのかの判断も必要です。クラウド型は離れた場所からのアクセスが可能なため、柔軟な働き方ができます。自社サーバー型(オンプレミス型)は、データ保護の観点から自社で環境を構築するため、安心感を持たれているといった側面もあります。

そして、システム導入後のサポート体制も重要な選定基準の一つです。操作方法の指導や、トラブル発生時の対応など、充実したサポート体制が用意されているかどうかを確認しておきましょう。

ただし、建設業の工事管理を改善していくためには会計処理の改善だけでなく、現場との連絡の強化や情報共有の仕組みづくりなど、様々な対策を同時並行で進めていく事が必要です。

工事原価管理システムの導入は、業務効率化の有効な手段の一つといえるでしょう。自社の状況に合ったシステムを選定し、適切に運用することが大切です。

まとめ

建設業における工事原価管理は、建設会計が特殊なため、非常に複雑です。適切な工事原価管理のためには、建設業特有の勘定科目や会計処理を正しく理解し、外注費や共通費を適切に計算・配分する必要があります。しかし、膨大なデータ量をミス無く管理することは簡単ではありません。工事原価管理を人の手だけで正確に素早く行うには限界があるため、現場の状況を踏まえた適切な判断が不可欠です。こういった問題の解決策として工事原価管理システムの導入はとても有効な手段です。ただし、導入の際には自社の業務運用に合ったシステムを選ぶだけでなく、現場との連絡強化なども同時並行で進めていくことが必要でしょう。

「どっと原価シリーズ」は多数の会計ソフトとの連携を可能としています。仕入伝票や売上伝票を作成することで、会計ソフトの振替伝票データが作成されるので、面倒な仕訳作成が不要です。伝票形式でのデータ作成するため、伝票入力担当の引継や建設業会計の仕訳に不慣れな方の入力時にも手間やミスを軽減できます。

お問い合わせ
どっと原価シリーズで原価管理を
見える化・効率化しませんか?
無料まずは資料請求
製品紹介やお役立ち資料をお送りいたします
30分で
分かる
無料相談お申し込み 無料デモお申し込み
実際の画面で機能をお試しいただけます
お気軽にお問い合わせください