原価管理システムの選び方&導入の流れを詳しく解説【資料付き】
2023年は建設業の倒産が8年ぶりに1,600件を超えました。倒産急増の背景には、資材の高騰と人手不足に伴う「建設コストの上昇」が挙げられます。参照元:帝国データバンク「建設業」倒産動向調査(2023年)
業界全体の建設投資額は増加しており、それに伴い業務量も増えています。
しかし、慢性的な人手不足による工期の延長、人件費や資材価格の高騰、加えて2024年4月からの時間外労働の上限規制(2024年問題)などの影響で、仕事はあるがこなせないという状況です。
これらの対策として、これまでEXCELで業務管理していた方々より、原価管理システム導入のご相談をいただくケースが増えてきました。建設業の原価管理に特化したシステムを利用することで、業務の効率化が進み、確保した時間を別の業務に充て、利益を増やせるようになります。
<原価管理システムの導入効果>
関わっている工事、すべてのコストが可視化される
→工事中に課題を見つけ、いち早く対策できる
→利益を確保できる
「でも、システムに不慣れで、使いこなせるか心配・・・」
こんなお悩みをお持ちの企業様が多いのですが、そもそも使いこなす必要などありません。いま大変な業務が、シンプルに、簡単に、楽になれば、それだけでよいのです。
はじめて原価管理システムの導入される方に向けたポイントを紹介します。
目次
システムを選ぶときのポイント
会社の原価管理のために「どの原価管理システムを選べば良いのか」選定ポイントをご紹介します。
会社の成長に対応できるシステムを選ぶ
システムを選ぶとき、最初に気になるのがコストの問題です。システムの機能と料金は比例しており、低価格のシステムは機能が限られていて、会社が成長すると何かしら足りない機能が出てきます。
とはいえいきなり高価なシステムを入れた場合、会社の規模が小さいうちは効果が発揮できない機能が多く、無駄につながります。例えば日報の作成機能は、工事や社員数が少ないうちは利用価値が薄いですが、社員が増えてくればなくてはならない機能になるはずです。
会社の成長度合いによって最適なシステムは変わるわけですが、かといってシステムを成長に合わせて切り替えることは簡単ではありません。データ移行に時間がかかり、新たな使い方を覚える必要があるからです。
会社の成長に合わせて、エディションアップやオプションを追加できる製品を選べば、システム移行のために業務を止める必要がないので安心して使えます。
クラウド型を選ぶ
データは会社に置かずに守る時代です。
クラウド型のシステムは厳重なセキュリティ監視がなされており、むしろオンプレ型(社内サーバ設置型)よりも安全性が高いともいえます。オンプレ型の場合、データを保管したパソコンが盗難されたり破損したりすると、そのデータを復旧させることは簡単ではありません。パソコンに充分なセキュリティ対策が取られていなければ、コンピュータウィルスによりデータが漏洩する恐れもあります。
クラウド型であればデータはシステム会社が管理しています。そのデータは一般の企業のパソコンとは比較にならないほど徹底されたセキュリティ対策が施されています。
その他、システムのアップデートや、災害等への対策、システム管理者が不要という点でクラウド型が有利です。
導入の流れ ゴール策定から体制づくりまで
新しいシステムを導入しようとすると、現場から反発の声がでることはよくあります。どんな会社でも新しいことに取り組むことに抵抗感がでるのは普通のことです。しかし、今までのやりかたを繰り返しても会社の状態は変わりません。ここは社長がリーダーシップを発揮し、前に進める必要があります。
稼働させる日付を決める
まずは、具体的に「いつまでにシステムを稼働させるか」を決めます。ゴールを決めることで、細かなスケジュールを立て行動につなげることができます。システムを導入するのは業務効率化や利益アップという目的のためですから、計画が早く進むほど会社にとって良い影響が及びます。
原価管理システムを新たに導入する場合、もともと原価管理システムを使っていない会社であれば稼働させるまでに3~4ヶ月程度が目安です。※会社の規模により異なります
プロジェクト責任者を決める
システム導入のプロジェクトが成功するかどうかは責任者の力が重要です。この責任者を誰にするかが成否を分けると言っても過言ではありません。
このとき、役職ありきではなく個人の資質に注目することが大切です。システムに詳しいことも大事ではありますが、会社全体の業務を俯瞰して捉えられる人材がより適任です。
原価管理システムの導入では、複数の部署や業務にまたがって運用を変えることもあります。部署同士で意思統一が図れれば良いのですが、ときには考えが一致しないこともあります。そのときにきちんと落とし所を見つけられる責任者が必要で、コミュニケーション力も求められます。
また、社長が責任者に任せきりにするのは禁物です。定期的に進捗状況をチェックし、決めた日付までに目標を達成できるのかを確認する必要があります。そして、社長が責任者のバックアップとして動く必要があります。社内の反対意見をすべて責任者に処理させるのは負担が大きいので、社長は責任者の後ろに立ち、責任者が動きやすい環境を作る意識をもつ必要があります。
社内の相談窓口をつくる
システムは導入したら終わりというものではありません。新しいシステムを入れて業務フローを変えるわけですから、やり方がわからずに戸惑う人が出てくるはずです。
そうした状況に備えて、運用をサポートできるような相談窓口を社内に設ける必要があります。わからないことをすぐに相談できる環境を整えるのです。
もちろん、システムを提供する会社はサポートセンターを用意しています。しかし身近に聞ける人がいたほうが確実に業務改善は進みやすくなります。ときには業務に精通している社員の方が、サポートセンターよりも早く回答できることもあります。サポートセンターに頼らなくてはならない場合でも、社内のサポート担当者が疑問を集約し、まとめてシステム会社のサポートセンターに聞けば効率的です。
運用時のポイント3つ
初期段階は少人数で始め、段階的に広げる
システム導入の初期段階では、大規模な導入よりも少人数でのスモールスタートが効果的です。多くの場合、システムに慣れるための時間やトレーニングが必要となります。そのため、少人数で始めることで、全体の負担を軽減し、導入段階での混乱を最小限に抑えることができます。具体的には、プロジェクトや部署ごとに限定して導入を開始し、段階的に拡大していくことが重要です。
システムは使いこなさなくてもOK
原価管理システムを導入する際、システムを完璧に使いこなす必要はありません。多くの企業は、最初からすべての機能をマスターしようとする傾向がありますが、これは必要ありません。まずはできるだけシンプルな運用にして、基本的な機能で目的の業務だけを効率化します。システムはあくまで業務を支援するツールであり、目的を果たすために必要な機能のみを重点的に活用することが成功の鍵となります。
まずは一点突破、慣れたら次のステップにすすむ
原価管理システムの導入では、一度にすべてを変えようとせず、一点突破を目指すことが重要です。つまり、最初に特定の業務やプロセスを改善することに集中し、それがうまくいけば次のステップに進むというアプローチです。このように段階的に進めることで、従業員の負担を最小限に抑えながら、システムの導入効果を最大化することができます。
導入の流れを簡単に表した図はこちらから!>>参考 どっと原価かんたんスタート.pdf
STEP1 原価管理のみ
STEP2 +請求書発行
STEP3 +売掛管理・買掛管理・実行予算管理
原価管理システムの導入は大きな変革ですが、上記のポイントを押さえることで、失敗するリスクを最小限に抑えることができます。少人数で始め、使いこなさないことを意識し、段階的な導入を行うことで、効率的な原価管理を実現し、業務の効率化につなげましょう。