工事の「出来高払い」メリットは?協力会社対応のポイントも解説
建設業における多重下請構造は、変動する建設工事の労働力需要に対応するため、必要不可欠な仕組みです。
特定の業種に専門特化しやすい下請け企業は、その分野の技術力と実績を積み重ね、更に専用設備や重機を充実させることで、専門企業としての競争力を高めています。
そのような会社は「戦略的パートナー」という位置づけで、以前のような“元請け”“下請け”という主従関係は存在しません。
建設業界全体が慢性的な人手不足ですから、元請企業(発注側)は、協力会社から選ばれる良好な関係の構築が重要になっています。
目次
協力会社と良好な関係を築くための発注側のポイント
協力会社との良好な関係づくりについて、全国の大規模工事に携わり、常時400社以上の協力会社(下請企業)を抱えている建設業のOBにインタビューすることができました。
伺った内容を詳しくお伝えすることはできませんが、実際の現場で行われている信頼関係維持のためのポイントをご紹介します。
コミュニケーションの強化
定期的でオープンなコミュニケーションを確保し、情報共有を促進します。
例えば、工事の進捗報告会議を開催し、工事の進捗状況や課題について議論し、双方の理解を深めましょう。
現場での打ち合わせでも良いですが、TeamsやZoomなどのオンラインコミュニケーションツールを活用することで迅速性と効率性を高めることができます。また、メールやチャットを活用し、工事に関する情報や変更点を共有することも有効です。
共通の目標の確立
成果目標に対して、共通の理解を築きます。双方が共に成功することを目指します。
工期、品質、コスト、安全性、顧客満足度などについて、発注側と協力会社共通の目標を確立しましょう。共通の目標設定は、双方の関係を強化し、協力関係をより一層深めるのに役立ちます。
技術的なサポート
協力会社が困難に直面した場合、技術的なサポートを提供し、共に解決策を模索します。
例えば、協力会社が設計や施工方法に関する疑問や課題を抱えている場合、発注側が適切なアドバイスや指導を提供します。
発注側にそのスキルがない場合でも、同業の専門家にアドバイスや指導を依頼するなどの調整を行いましょう。状況によっては、最新の技術や施工ツールを提供し、協力会社がより効率的に作業を行えるよう支援します。
技術的なサポートが適切に行われることで、双方の効率性や品質が向上し、良好な関係が築かれます。
安心できる契約・発注
契約条件を公平かつ透明に設定し、且つ、協力会社が資金繰りを心配しなくて済むよう、規模や依存度を考慮した定期的な発注を心がけます。時には、県外での長期工事も発生しますが、協力会社の方の住む場所の手配、帰省時の費用負担なども考慮し、協力会社が安心して工事に専念できるようにします。
柔軟な支払い条件
出来高払などの柔軟な支払い条件を設け、双方が公平に利益を得られる環境を構築します。
これらを継続することで、双方が共に成功し、将来においても強固な協力関係を築くことができるかと思います。
出来高払いのメリットと注意点
出来高払いは、下請け企業が安心して工事に専念できる柔軟で効果的な支払い方式です。この方式では、実際の作業量や成果に基づいて支払いが行われ、協力会社は工事の進捗に応じて収入を確保できます。査定方法も柔軟であり、協力会社の要望にも対応可能できます。
ただし、実際の契約金額(発注額)を超えて支払うことができませんから、発注ごとの契約金額・既払額・残額を管理する必要があります。
発注量がそれほどでもない場合はEXCELでも管理可能ですが、ある程度の工事数・発注数を超えると一気に管理不能となりますので、その場合はシステム化の検討をおすすめします。
出来高査定&管理を楽にするシステム機能例
建設業向けシステム「どっと原価3」の出来高査定機能を例に解説します。どっと原価3では、出来高による協力会社への査定を円滑に行います。
契約金額、既払額、残額などの情報を発注書単位で管理し、進捗と支払状況を瞬時に把握することができます。
柔軟な査定方法
出来高率は発注数量(契約数量)に対する納入数で計算されますが、協力会社からの具体的な要望による査定も可能です。工事の進行や協力会社の運営状況に応じて柔軟な査定を行い、双方にとって公正な評価を実現します。
保留金対応
保留金にも対応しており、査定額✕支払率 での支払いをスムーズに実現します。協力会社との信頼関係を築きながら、効果的な資金の運用が可能です。
査定結果の確認
査定結果は直感的な出来高報告書や出来高一覧表で簡単に確認できます。工事全体の進捗や支払い状況をリアルタイムで把握し、迅速な意思決定を可能にします。
査定履歴の管理
過去の査定履歴もシステム上で確認でき、工事ごとの査定の推移や傾向を分析することができます。これにより、将来の工事の計画策定や予測がより精密に行えます。
出来高報告書・出来高報告一覧表のサンプルはこちら
どっと原価より出力できる出来高報告書および出来高報告一覧表です。一から手作業で作成するのは手間がかかりますが、どっと原価ならボタン一つで集計が可能になります。
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