中小建設業の人手不足&需要増への対策法|無理なく始めるデジタルツール
全国で建設投資額が増加する中、人材の高齢化と人手不足に悩まされている建設業界。さらに2024年4月より残業時間の上限規制が適用され、業務時間の短縮が求められます。
法改正に合わせた準備は重要ですが、それだけでは今後予想される環境変化に対応することはできません。
「なんだ、システムの宣伝かぁ」
そう言われそうですが、そういうわけではないのです。
今回は、専任のシステム担当を配置しにくい中小の建設会社向けに「需要増&人手不足を“無理なく”解消できる方法」をお伝えしようと思います。
建設業は無駄な業務が多い
かつてはパソコンでWordやExcelを使うことが“IT化”と呼ばれ、それで生産性を高められた時代がありました。当時は、パソコンが得意な社員がマクロを駆使し、何十種類もの自動計算できるExcelファイルを作成したものです。
作成した社員が退職してからも、そのExcelファイルは代々受け継がれ、要望や法改正など度重なる修正によりほころびが生まれているにも関わらず、誰も直すことができない。
その結果、“そこは自動計算で合ってるけど、そこは間違ってるから手計算する”などという属人的でリスキーな運用を強いられているのではないでしょうか。
技術や道具、設備の進化はありますが、建設会社の業務自体は従来とあまり大きく変わっていません。
特に中小の建設会社では、増員や担当者の努力と根性(=残業)で乗り越えており、業務全体を見直すことがないまま無駄が放置されるケースが少なくないようです。
かつての最適が今も最適なのか。一度、業務を整理してみてはいかがでしょう。
業務の棚卸しを行い、流れや作成物、作成時間、それぞれの人の役割などを可視化することで、そこに潜む無駄を発見できるかもしれません。
儲かっている企業の業務フローをパクる
では、どのような業務の流れが正解なのでしょう?まずは、成功している企業を真似てみることをおすすめしています。
「成功している企業が教えてくれるわけないだろう(怒)」
確かに実際の成功企業が教えてくれることは稀かと思いますが、実績のある業務用システムの推奨手順に業務をあわせることで、同等レベルでの実現が可能になります。
ここ数十年の間にデジタル技術は発展してきました。販売当初の業務用システムは高価な場合が多く、資金に余裕のある企業しか手が出せませんでしたが、その業界で儲かっている企業(=成功企業)のノウハウをシステム化し、改良を繰り返し、より多くの企業に採用できるように標準化されたものが製品になっています。
特に業種特化型のシステムの場合、その業種のユーザーの声を吸い上げ、アップデートを繰り返して今日に至っています。その結果、多くのシステムは販売当初よりも遥かに使い勝手や機能がよく、また、無駄のない業務フローを実現しているのです。
ミドル業務の改善が効果的
業務を見直す際は、会社にとって一番非効率になっているところから着手し、効率化の実感を得ることが大切です。
業務効率化のシステムについては財務会計・給与計算や経費精算など主にバックオフィスを対象にしたものが多いです。もちろん、これらの効率化も重要ですが、建設会社の場合、営業などのフロント業務とバックオフィス業務の間にある「ミドル業務」の改善が効果的です。
ミドル業務の例
・契約から受注管理
・実行予算(支払予測)の管理
・協力業者への発注業務
・仕入から支払の管理(買掛管理)
・請求から入金の管理(売掛管理)
・収支予測
これらミドル業務をシステムで一元化することがポイントになります。そうすることで社内の多くの入力作業が統一され、業務が管理しやすくなり、効率よく運用できるようになります。
一元化された情報は、仕入元帳・工事台帳・工事別原価管理表など複数の資料を自動で生成し、たいへんだった集計作業から開放されます。そして、経営の見える化がリアルタイムで可能になるのです。
中小の建設会社はクラウドでスモールスタート
人手不足に悩む中小の建設会社では、サーバーの管理が不要なクラウドシステムがおすすめです。常に最新版のソフトが使用でき、データ漏洩や破損の心配もありません。インターネットに接続できる環境ならば、会社、現場、自宅などどこでも使えるというメリットもあります。
クラウドはサブスクリプション契約がほとんどですから、検討に時間をかけず、まずは始めてみましょう。システム導入成功の鍵は、少人数&小規模のスモールスタートです。最小限の契約で小さく始め、定着し効果が確認できたら徐々に範囲を広げていきます。仮にうまくいかない場合でも、期間満了時に継続しないという選択ができます。少数精鋭の仲間を信じて、恐れずに始めてみましょう。
中小の建設会社には多くの無駄が存在しています。業務の無駄やお金の無駄が散見され、経営を圧迫している企業もあります。しかも他業種よりもDX化が遅れ、いまだに20世紀と変わらない経営を続けている建設会社も少なくありません。
この状況を前向きに捉えれば、建設会社の経営には大いに改善の余地があるということです。
デジタルツールを活用する企業に対して国も後押ししているわけですから、是非、チャレンジしていただけたらと思います。