原価計算・管理に必要な機能がパッケージングされた原価管理システムの利便性を網羅解説
原価の計算や管理のみならず、さまざまな業務工程の管理に使える原価管理システム。導入を検討している経理担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。原価管理システムにはさまざまなパッケージがあり、どれが自社に合っているのか悩むところです。
この記事では、原価管理システムのパッケージの種類や選ぶときに知っておきたいポイントをご紹介します。自社に最適な原価管理システムのパッケージを選択するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
目次
原価管理システムのパッケージングにはどのような種類がある?
原価管理管理システムのパッケージには、主に下記の4つの種類があります。
①エントリーパッケージ
②標準パッケージ
③拡張型パッケージ
④クラウド型パッケージ
それぞれ向いている企業の規模や特徴が異なるため、どのようなパッケージなのか確認してみましょう。
スモールスタートに最適なエントリーパッケージ
エントリーパッケージは、小規模企業向けのパッケージです。導入コストを抑えつつ、原価管理や業務に必要な最低限のシステムを利用できるところが特徴です。
具体的には、原価集計や売上、入金管理、受注登録など原価管理に関連する業務を管理できる機能が備わっていることが多いです。そのため、原価のみを管理するのではなくERP(Enterprise Resources Planning )システムの一環として活用できます。
原価管理システムの主な機能 | |
原価集計 | 部門や担当者ごとに原価計算や原価管理ができる機能 原価と利益を可視化でき、収益性が判断しやすくなる |
受注登録 | 請求先の登録、入金予定日の登録など受注を受けた案件の処理状況を確認できる |
予算管理 | 過去の予算の引用や過去予算との対比ができ、シミュレーションをしながら予算を組めるようになる 予算の変更履歴の管理も可能で、変更前と変更後の予算を確認できる |
仕入管理 | 予算や発注、原価を参照しながら仕入を検討できる |
請求書管理 | 請求書の発行や管理ができる |
データ分析 | 各種管理内容のグラフ化や計画の進捗状況、実績の可視化などができる 資料作成にも活用することが可能 |
また、エントリーパッケージでも、Excelや外部ツールと連携できるシステムが多いです。例えば、今までExcelで処理をしていた場合は、処理方法を大きく変更しなくても導入が可能です。
・導入コストを抑えて原価管理システムを手軽に導入したい
・業務で原価管理システムを扱う人員が限定されている
・社員数が少ないので小規模用の原価管理システムを使いたい
という場合には、エントリーパッケージが向いているでしょう。
本格的に活用できる標準パッケージ
標準パッケージは、中小企業向けの使いやすいパッケージです。エントリーパッケージに含まれている基本的な機能に加えて、プラスアルファの機能搭載やオプション追加ができるところが特徴です。
エントリーパッケージはオプション追加ができないケースが多いですが、標準パッケージでは業種や実際の用途に応じた使い方ができるようになっています。
例えば、承認機能が追加できると、フローに応じてシステム上で承認者への申請や承認手続きができます。従来は伝票を作成、印刷し承認者に提出する必要がありましたが、標準パッケージ上に追加できる機能を使うことで業務効率化や承認者の負担軽減が可能です。
また、標準パッケージになると自動バックアップや外部データとの自動ファイル連携機能が備わっていることがあります。原価管理システムの運用がしやすくなるところも、大きな魅力だと言えるでしょう。
・自社の目的や方針に応じて使いやすい原価管理システムを導入したい
・エントリーパッケージでは物足りなさを感じる
・データのバックアップや他の基幹システムと連携がしやすい原価管理システムを選びたい
という中小企業には、標準パッケージがおすすめです。
中規模以上の企業におすすめの拡張型パッケージ
拡張型パッケージは、自由にカスタマイズしたい中規模以上の企業に向いているパッケージです。ライセンスの同時利用者数が多くなり、社員が多い場合や複数拠点を持っている場合でも対応できます。
拡張型パッケージは標準パッケージに備わっている基本的な機能が使えるのはもちろんのこと、自社の要望に応じてカスタマイズ対応をしてくれることが多いです。
例えば、製造業で生産管理もできるようにカスタマイズして欲しいと依頼をすれば、必要な機能や追加するべきオプションなどをまとめて提案してもらえます。導入後に使いにくいと感じたり自社に適合していないと後悔したりする可能性が低くなるところがメリットです。
一方で、柔軟にカスタマイズできる分、他のパッケージよりも初期費用やランニングコストがかさむ可能性があるため、費用対効果を念頭に置いて検討する必要があるでしょう。
・複数拠点や大人数で使用できる原価管理システムを導入したい
・自社の業務内容や業種に合わせて使いやすいようにカスタマイズしたい
という場合には、拡張型パッケージを検討してみる価値があるでしょう、
自前サーバー不要、クラウドですべての機能が提供される「クラウド型」
ここまで紹介したエントリーパッケージや標準パッケージ、拡張型パッケージは、オンプレミス環境で使用するパッケージです。オンプレミスは自社でサーバーを保有し、インターネットを使わず使用するため、セキュリティ対策がしやすいのがメリットです。
一方で、保守管理や設定にコストや手間がかかり、サーバー保有・管理など導入のハードルが高いデメリットがあります。オンプレミスのデメリットを払拭するパッケージが、クラウド型の原価管理システムです。
クラウド型は、インターネット経由で原価管理システムを利用する運用方法です。自社でサーバーやソフトウェアを保有する必要がなく、導入コストや導入時の手間が大幅に省けるところが特徴です。
クラウド型のパッケージも、基本的には標準パッケージに該当する機能を備えています。ただし、いま自社で導入しているほかのサービスやソフトウェアとの連携については、事前に確認しておくことが大切です。
「どっと原価シリーズ」の4つのパッケージ
建設業向けの原価管理ができる「どっと原価シリーズ」には、下記の4つのパッケージが用意されています。
「どっと原価シリーズ」の4つのパッケージ | |
どっと原価NEO LT | 小規模企業向けエントリーパッケージ |
どっと原価NEO ST | 中・小規模企業向け標準パッケージ |
どっと原価NEO EX | 中規模企業向け拡張型パッケージ |
どっと原価3 | クラウド型パッケージ |
同時利用者数は「どっと原価NEO EX」以外は20人
「どっと原価 シリーズ」はパッケージによって、同時に利用できる人数が異なります。
同時に接続できる人数 | |
どっと原価NEO LT | 20人まで |
どっと原価NEO ST | 20人まで |
どっと原価NEO EX | 200人まで |
どっと原価3 | ライトモデル 5人まで |
オンプレミスのどっと原価NEOでは、「どっと原価NEO EX」以外は同時接続人数は20人までです。中・小規模企業向けパッケージなので、20人までの同時利用で十分活用できると考えられるでしょう。
20人以上で利用したい場合には、利用時間をずらして同時利用人数が20人までに収まるように工夫することも一つの方法です。20人までで収めることが難しく原価管理に携わる社員数が多い場合には、「どっと原価NEO EX」を検討してみてください。
エントリーパッケージの「どっと原価NEO LT」は機能がシンプル
エントリーパッケージである「どっと原価NEO LT」のみ、下記の機能が備わっていません。
「どっと原価NEO LT」に備わっていない機能
・出来高査定
・手形発行
・FAX送信
・アフター管理
・労災保険料計算
・JV会社管理
・仮設資材管理・承認機能
・工事進行基準
・解決テンプレート など
もちろん原価集計や予算管理などの基本的な機能は備わっていますが、顧客のアフターサポート管理に利用できる「アフター管理」や承認依頼や申請ができる「承認機能」などは備わっていません。
業種や事業規模によっては上記の機能が備わっているほうが、原価管理以外にも幅広く活用できます。その結果、業務効率化や迅速な経営判断につながることも考えられるでしょう。
柔軟なカスタマイズ対応ができるのは「どっと原価NEO EX」
拡張型パッケージである「どっと原価NEO EX」は、柔軟なカスタマイズに対応しています。必要や機能や原価管理をする上でのお悩みをヒアリングし、見積書を提示してもらうことが可能です。
「どっと原価NEO EX」と「どっと原価NEO ST」はどちらも「どっと原価 シリーズ」のすべての機能やオプション、拡張機能に対応していますが、カスタマイズ対応ができるのは「どっと原価NEO EX」のみです。 より自社に合う原価管理システムの導入を求める場合やカスタマイズの必要性を感じる場合には、「どっと原価NEO EX」を選択するといいでしょう。
導入のしやすさを考慮するならクラウド型の「どっと原価3」
オンプレミス環境の保守管理や運用に慣れていない場合は、クラウド型で手軽に導入できる「どっと原価3」が向いています。 「どっと原価3」以外はオンプレミス環境で使用するパッケージなので、オンプレミス環境に関する知識や技術が必要です。
「どっと原価3」はサーバーレスで使用でき、サーバーの維持管理が不要です。世界トップレベルのセキュリティが備わっているため、自社で保守管理やセキュリティ対策に費用、時間を費やす必要がないところも大きなメリットです。
このように、「どっと原価 シリーズ」はパッケージにより特徴が異なり、企業の規模や必要な機能、導入方法を確認しながら選択することが大切です。
「どっと原価 シリーズ」の4つのパッケージの機能や比較一覧は、下記のページを参考にしてみてください。
▼「どっと原価NEO」製品一覧ページ
原価管理システムは自社の「業種」にマッチしたシステムが便利
ここでは、「どっと原価 シリーズ」に搭載されている機能をベースに、土木業と建設業、設備業で活用できる機能を抜粋してご紹介します。業種に応じてどのような機能が備わっていると便利なのか参考にしてみてください。
原価集計
原価集計では、さまざまな視点で原価や利益の集計ができます。
・工事の請負金額や受注金額で範囲指定をして集計
・部門や発注者別での集計 など、原価や利益を知りたい範囲を指定し、一覧表示ができます。
例えば、工事の発注者を指定すれば、対象の発注者の工事ではどのくらい原価がかかっているのかすぐに把握できます。工事別の台帳を作成し管理することもできるため、情報の分散を防ぎ分かりやすくまとめられます。
また、原価や利益の管理だけでなく、未収金管理として未請求残高や未入金残高を抽出することも可能です。
実行予算作成
実行予算作成は、工事に必要な予算の管理をする機能です。予算を管理することで、過去の履歴から原価の比較や見積書の作成ができます。
「どっと原価 シリーズ」では品目や工種、品目などの最大4階層で予算の作成ができます。予算明細画面では上段に当初予算、下段に最終予算が表示され、予算の変動を管理することも可能です。
また、登録済みの予算データを複写、参照しながら、新規予算を作成できるところも特徴です。原価を念頭に置き見積書を作成する手間や再度原価を計算する労力を省けます。
売上・入金伝票入力
売上・入金伝票入力では見積や受注と連携して売上や販売管理ができ、業務効率化や人的ミスの減少が実現できます。
「どっと原価シリーズ」では工事登録の請負額や見積書を複写して、入金の入力が行えます。また、入金残高を確認しながら入金処理ができるため、入金消込に便利です。
他にも、現在使用している会計ソフトと連動させて、より使いやすい環境を整えることもできます。
原価管理システムに備わっている機能は、パッケージにより異なります。業種や管理したい範囲を踏まえて、必要な機能が備わっているか確認しておくといいでしょう。
自社ニーズにマッチした原価管理システムのパッケージを選択しよう
原価管理システムには多彩な製品が用意されており、搭載されている機能や導入方法、ランニングコストが異なります。
昨今は、原価管理と会計、見積などを一元管理できるパッケージも増えています。自社のニーズや活用方法に応じたパッケージ選択を行うことで、原価管理がしやすくなるでしょう。
今回ご紹介した「どっと原価 シリーズ」のパッケージや機能を参考にしながら、自社に合うパッケージを選択してみてください。