建設業の経営力強化に重要な「3つの数字」正しい原価管理の方法を解説
実行予算の作成や管理業務(=原価管理)について悩んでいる建設業の方も多いのではないでしょうか?
この記事では、実行予算管理=原価管理の目的や方法、建設業のマネジメントにおいて大事な「3つの数字」について解説します!
目次
原価管理は「原価を管理する」だけでは意味がない
原価管理は、製造をする際にかかるコストを算出し、目標となる価格と比較してコストの改善を行うことです。
中小建設業では、業務の中での課題点として「実行予算の作成・管理業務」を多く挙げているようです。
実行予算管理、つまり、原価管理に苦労をしているということですね。
それだけ原価管理が重要視されているということですが、原価を管理するだけで売り上げや利益が上がるわけではありません。
会社の利益を生むことが原価管理の目的
あなたの会社では、工事ごとの実行予算を管理するだけで終わっていませんか?
残念ながら、工事ごとの実行予算を管理するだけでは「原価管理をした気」になっているだけ。
なぜなら、原価管理は会社として利益を生むため行うものだからです。
もちろん工事ごとの実行予算管理を徹底して行うことは大切ですが、その先の目的は「会社全体として利益を生むこと」。
工事ごとの実行予算管理の結果が、会社全体の利益のどれくらいの割合を占めるのかまでを把握する必要があります。
原価管理を行うのに重要な「3つの数字」
3つの数字は下記です。
- 全社年間利益計画
- 完成済み工事利益
- 期中予想利益
全社年間利益計画
この場合の利益は、基本的には「営業利益」と考えましょう。ただし、会社によって「経常利益」や「純利益」の方が分かりやすければそれでも問題ありません。大事なのは、「社員一丸となって目指すゴールとなる数字」にすることです。
完成済み工事利益
各工事で集計し、毎月全体の数字を集計します。3か月ごとに、年間の利益計画との差異がどのくらいあるかを確認しましょう。もし計画よりも不足している場合は、達成できるように手を打ちましょう。
月をまたぐ工事の原価は、当月に完成した工事の売り上げから差し引いて利益を計算します。個別現場に振り分けづらい原価(車両費や修繕費、リース費用など)は、「共通現場」という工事を作成して集計すると、毎月の収益が把握できるようになります。
期中予想利益
まずは受注見込みの確立ごとにランク付けをします。例えばAランクは受注確立90%以上、Bランクは70~90%、Cランクは50~70%、Dランクはそれ以下…などです。
また、ランク付けの条件は①決裁者の購入意思があるか②予算と提案はマッチしているか③融資状況が健全か④業者手配は可能か⑤仕様確認は完了しているか の5つとする、などの基準を設けておくと、よりランクが設定しやすくなります。
受注見込工事の状況を毎月会議で報告し合うことで、期中予想利益の精度が高まり、年間利益計画との差異も把握しやすくなります。
まずは年間の利益計画を立て、その後は月に1度、各工事の完成済み工事利益と今後の予想利益、全社の年間利益計画との差を把握するようにすれば、原価管理の目的である「会社の利益を生む」ことにつながります。
プロが推奨!原価管理の業務フローはこれだ
原価管理の業務フローとしては、下記を推奨します。
まず会社としての全社年間利益計画を立て、そのうえで、工事ごとの原価集計や実行予算管理を行って、工事ごとの利益を把握します。さらに受注済み工事と受注見込み工事の利益予想を踏まえて、全社の年間利益予想を掴みます。
このように、工事単体の原価集計や利益の管理だけではなく、「全社の年間利益」を把握することで、効果の高い原価管理を行うことができるのです。
全社年間利益計画 ≧ 完成工事利益 + 期中予想利益
(期中予想利益 = 完成予定工事利益 + 受注見込工事予定利益)
見えない原価管理から、見える原価管理へ
今まで決算が終了するまで分からなかった売上や利益が見えるようになると、利益に対するモチベーションが変わります。
「だいたいこのくらいだろう」でどんぶり勘定していた利益は、本来重要なものなのです。
利益を見える化することで、建設業の経営力の強化につながります。
とはいえ、年間の数字を管理するのは業務量も多く、なかなか大変なもの。原価管理を行いたい、利益やコストの見える化を行いたい、でも業務が増えるのが心配…そんな方は原価管理の専門ソフト「どっと原価シリーズ」をおすすめします。
導入社数No.1の実績があり、建設業の商習慣にも対応しているため初めて原価管理ソフトを導入する方にもおすすめです。