スティーブ・ジョブズと禅
先日、株主である名古屋中小企業投資育成さんの創立60周年記念講演をお聞きしてきました。講師は、京都の妙心寺退蔵院の副住職の松山大耕さんでした。テーマは禅と経営でしたが、その中で2つ面白いお話がありましたので、ご紹介します。
ひとつ目は、Appleの創業者スティーブ・ジョブズさんが禅に傾注していた事は有名ですが、この禅という漢字は、示す辺に単と描き、複雑なものを排除し、シンプルを追求するという事を意味しており、アップル社の基本理念も「フォーカスとシンプルさ」と定義し、シンプルであることは複雑であることよりも難しいと日頃から語っていたようで、iPhoneも開発中では、操作ボタンは3つあり、ジョブズは、これを1つにするようにシンプルにするように指示したことで、携帯電話に革命を起こす製品になりました。我々の製品、サポートのやり方、お客様への提案の仕方などにも通じることがあると感じます。
もう一つは、禅で学ぶお坊さんと企業の社員の学び方の違いです。
仏教に「聞思修(もんししゅう)」という言葉があり、意味として、聞(もん)はセオリーを学ぶ、思(し)は自分で考える、修(しゅう)は、実践する という3つのステップから、自分の心の中の素晴らしいものに気づき、心やすらかに生きるための知恵であると教えています。
企業では入社をすると、左からの順でセオリーを教えもらい、その上で、自分で考え、実践をしていきますが、お坊さんは禅寺で右からで、誰からも教えられず、まずやって見る、そしてやってみて失敗しながら自分で考え、自身でセオリーを身につけていくと、全く逆になるようです。
禅寺では、言わない、みた事をやってもらう、そしてできたらば褒めてあげる、わざと教えない、とにかくすぐに動く、能力ではなく何とかする力が大事であるという事でした。昭和の時代や、今、我が社でもマネージャークラスの人は、場合によっては背中を見て覚えろ!と言われながら、失敗を重ね、自分で考え仕事を覚えてきました。まさに禅寺の坊さんのようでした。
教えられたものよりも自分で考えて失敗を重ねて自分のものにしたものは、身につきます。言ってみれば、車の運転などもそうではないでしょうか?いろいろと最低限のことは教えられますが、実践を重ねないとうまくなりません。
最後に、講師から、能力ではなく何とかする力というのは、どういう事か?として、自分お仕事に対して、分かるのではなく、できるでもない、やるという事が最も大切で、これをとにかく瞬時に動ける、行動することが大切である、言われていました。全く共感できるお話で、私自身も大切にしたいと思っていることと同じです。