”忘れる”という才能
東京オリンピックが多くの会場で無観客で行われる事が決まりました。僕自身も陸上競技のチケットを1枚持っていましたので、観戦できず残念です。ですが、無観客で一番、かわいそうなのは選手でしょう。4年に1回の晴れ舞台を多くの観客の声援の中、競技することができないのですから。恐らく、今後、新たな声援のやり方がマスコミなどを通じて出てくるのではないかと期待もしたいと思います。
土曜朝にNHKBSを見てしりましたが、これまで日本人がオリンピックで獲得した金メダルは142個らしく、その142個の金メダリストの見たい名場面の特集番組があって、ぼうっと見ていたのですが、メイン司会が元陸上選手の為末大さんでした。その為末さんは言われた言葉が、とても印象に残ったのでお話ししたいと思います。金メダリストや素晴らしい選手でも、ほとんどの選手は挫折を経験しており、その上で、それを克服して素晴らしいアスリートになっている。あの体操の内村こうへい選手でも、今回のオリンピック選考前、怪我などもあり、国内の競技会で入賞すらできない失敗の連続だった。ところが、そんな、失敗の連続だった競技会から、選考会では考えられない復活を遂げ、オリンピック出場を決めている。
一般的な選手は、成功した事よりも失敗したことのほうが強く記憶に残ってしまい、失敗するかも、、、とかあの選手やあのチームは苦手などか、失敗する、負けるイメージのほうが記憶に残ってしまい、結果として力を発揮できなくなってしまう。
ところが、為末さんがいうのは、素晴らしいアスリートの多くは、忘れる能力が素晴らしいという事を、自分自身の競技人生の中で、たくさん見てきた。強い選手ほど、この能力が高い。嫌な事、覚えておいても仕方のない事を忘れる事で、自分自身の力を周りに影響されることなく発揮できる、そんなアスリートが一流であるという事でした。どうしようもない事は忘れ、前向きに考えて、自分自身の力を磨き、前に進む。私たちの仕事においても、このどうしようもない事に振り回されてしまい、自分を見失ったり、不安になったりするのではなく、自分を見失わず、自分自身を磨く、そんな気持ちを持つ事が新ためて必要だと感じました。